健康情報についての情報リテラシー
「〇〇を食べて長寿に」「これを飲めば〇〇が治る」という情報に興味を惹かれたことはありませんか?日々の暮らしの中で、私たちは様々な「健康に関する情報」を目にします。インターネットや、新聞、テレビなど、あらゆるメディアでまことしやかに発信されるこれらの健康情報を鵜呑みにするのは危険です。新型コロナウイルスにまつわる健康情報も例外ではありません。これらの健康情報を読み解く力=「ヘルスリテラシー」の重要性や課題について解説します。
-
ヘルスリテラシーの定義について
このサイトはヘルスリテラシーの重要性や日本の現状、そして今後取り組むべき課題などを紹介していますが、ヘルスリテラシーという言葉自体、知らなかったという人も多いでしょう。ここでまず「ヘルスリテラシーとは何か」という定義から解説します。ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を正しく読み解き、適切に取り扱うことができる力のことです。健康に関する情報とは、例えば「〇〇を食べると免疫力が上がる」「〇〇を飲めば血圧が下がる」などのような、身体の健康にまつわる情報全般を指します。
-
重要性について
ヘルスリテラシーは、コンパクトに言えば健康情報を適切に取り扱う力です。当然、その力の有無は自身の健康を左右します。極端に言えば、ヘルスリテラシーが低いがゆえに命を落とすこともあり得るということです。科学的根拠のないデマに踊らされて健康被害を被るだけじゃなく、自身の健康状態に無頓着で医療機関の受診が遅れたために大病を患ってしまったり、手遅れになってしまうなどのリスクもヘルスリテラシーの低さによるリスクです。
-
測定方法と尺度について
ヘルスケア・疾病予防・ヘルスプロモーションの3つの領域において、健康情報を入手し、理解し、評価し、活用する能力がヘルスリテラシーの定義とされています。それぞれの場面で複数の能力をどの程度発揮できるかを測定する尺度やツールが多数開発されています。そもそもは健康にまつわる読解力および理解力を測定するために開発されたREALM、TOFHLAなどのテストが基となり、多くの研究が実施され、短縮版や特定の健康問題に特化したものなど様々な尺度へ発展しています。
-
課題について
ヘルスリテラシーの重要性とヘルスリテラシーの低さが及ぼすリスクについては理解していただけたと思います。ここではヘルスリテラシー向上における日本社会の課題について解説します。一つは、SNSやインターネットの普及によって、健康に関するデマや偏った情報が簡単に拡散されてしまうこと。そしてもう一つは、健康情報に関する信頼できる総合サイトが現時点で存在しないということです。この二つの要因が、専門家ではない一般の人が健康情報を適切に判断することをより難しくしています。
-
患者の自己決定と看護師の役割
「良質の医療を受ける権利」「選択の自由の権利」「自己決定の権利」「患者の意思に反する処置」「情報に対する権利」「守秘義務に対する権利」「健康教育を受ける権利」「尊厳に対する権利」など、患者の権利がクローズアップされていますが、基本的に患者や家族が自らの意思で治療方針を決定することが大切です。看護師は医師と患者をつなぐ架け橋的な存在となり、患者に寄り添うことが重要な役割と言えるでしょう。
-
ヨーロッパ、アジア諸国との比較
世界的にヘルスリテラシーを測定する尺度の研究が進められています。ヨーロッパのHLS-EU-Q47という調査方法が有名で10カ国以上に翻訳され各国でヘルスリテラシーの調査が行われています。各国の調査結果をまとめた論文を調査すると日本のヘルスリテラシーの低さが浮き彫りになりました。ヨーロッパだけでなくアジア諸国と比べても日本のヘルスリテラシーは最も低い結果となっています。ただし、この結果は日本だけ調査方法が違う点も注意が必要です。
-
ヘルスリテラシーの定義について
リテラシーとは、元々は読み書きの能力のことを言います。ヘルスリテラシーは、健康情報に対して入手、理解、評価、活用をするための知識や能力という意味で使われます。また、健康情報に基づいて意思決定される健康を決める力とも言えるでしょう。ヘルスリテラシーが低いと健康に影響があると言われています。また、ヘルスリテラシーが高い人は、健康的であるだけでなく仕事のパフォーマンスが高い、問題解決力が高いなどの傾向もあるようです。