より良い医療と健康のための「ヘルスリテラシー」

ヘルスリテラシー向上のために企業ができること

個人のために企業ができること

個人のために企業ができること

従業員のヘルスリテラシー向上のために企業ができることはなにがあるでしょうか。従業員の健康を守り企業全体の健康を維持するために企業ができることを考えてみましょう。

現状把握

まずは、現状のヘルスリテラシーを把握することが大切です。現状を知らなければヘルスリテラシーが向上したのかどうかがわかりませんし、対策を立てることができないからです。自分のことは自分がよくわかっていますが、その反面自分ではわからないことも多々あります。ヘルスリテラシーも理解しているつもりが実はわかっていないということも少なくないでしょう。従業員一人ひとりのヘルスリテラシーを企業側で把握して、ヘルスリテラシー向上を目標に掲げてみましょう。

機会をつくる

従業員は普段企業のために忙しく働いてくれています。頭ではわかっていてもどうしても健康維持に積極的に動くことが難しいかもしれません。企業に義務付けられている健康診断は良い機会になるでしょう。また、最近ではストレスチェックを制度化する企業も増えています。このような健康と向き合う機会を企業側から積極的に増やしていくことも重要な取り組みと言えるでしょう。ヘルスリテラシーの向上は個人の力では限界があります。医師や産業医、保健師などの専門家の力を借りることもポイントです。

情報を提供する

ヘルスリテラシーを向上しましょうといくら企業が訴えても従業員が自ら健康情報を調べることは期待できません。やはり、そこは企業側が積極的に従業員へ健康情報を提供することが必要です。社内報をつくっている企業であれば健康に関するページをつくるのも良い手段です。社員研修の中に健康に関する内容を取り入れることも良いかもしれません。社内に健康に関する掲示物を貼ることも従業員の興味を引く上で大切なことです。もし、詳しい担当者がいるのなら健康に良い食事やレシピに関する情報を社内報に掲載するのもおもしろい取り組みかもしれません。

相談先を用意する

いずれの対応をするにしてもやはり専門家の協力が必要になります。産業医や医師、産業保健師といった専門家に相談できる用意をしておくことが大切です。従業員の健康に関する相談先が用意されていれば、担当者や経営者もいざというときに慌てなくてすみます。大企業では産業医が設置されているでしょうが、そうでない企業でも産業医の活用を検討してみてはいかがでしょうか。産業医は従業員の健康状態も把握しており、従業員一人ひとりに的確なアドバイスを提供することができるでしょう。

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