ヘルスリテラシーの定義について
リテラシーという言葉をご存知でしょうか。最近ではITリテラシーといった使われ方が多く、ニュースなどで見ているかもしれません。リテラシーとは、元々は文字を意味する「letter」から派生し、読み書きする能力のことをいいます。
経済協力開発機構(OECD)では、「社会に参加し、自らの目標を達成し、自らの知識と潜在能力を発展させるために、書かれたテキストを理解し、評価し、利用し、これに取り組む能力」と定義しています。
情報を見つけ出す能力
インターネットが普及し、一人一台スマートフォンを持ち歩く時代のいま、あふれかえる情報の中から信頼できる情報だけを抽出して上手に活用するにはそれなりの能力が必要になります。情報が多様化し、高度化している昨今、自分に合った情報をいかにして入手するか、選択肢をよく理解し、複数持つことが大切です。偏った情報だけを入手することはやめましょう。
情報を理解する能力
情報を効率的に、そして自分が欲しいものだけを抽出することが現代を生きるうえで大切なことです。しかし、情報を入手するだけでは無意味です。その情報を自分のものにするため、きちんと理解することが必要です。また、入手した情報が信頼できるものか評価できなくてはいけません。情報を評価するためには様々な知識が必要です。情報を入手し、理解し、蓄積していくことでその能力は鍛えられます。最後に、このように得た情報は使わなければ意味がありません。情報を得るだけでなく、活用し、何らかの行動に移すことが大事なのです。
ヘルスリテラシーとは
リテラシーについては、前述の通りですが、ヘルスリテラシーとはどういうことなのでしょうか。ヘルスリテラシーでいう情報とは、健康情報のことを言います。健康に関する情報を上手に入手し、理解、評価でき、それを活用する能力をヘルスリテラシーと定義できると思います。ヘルスリテラシーによって、日常生活のヘルスケアや病気の予防について自分で判断し、その情報をもって生涯における生活の質を向上させることができます。具体的に、ヘルスリテラシーは、3つの場面で必要になるとされています。1つは、症状や病状に適切な対処をする医学的なヘルスケアの場面。2つ目は、病気の危険因子における疾病予防の場面。最後に物的、人的を問わず人を取り巻く環境を健康なものに変えるヘルスプロモーションの場面です。それぞれの場面で必要とする対処法や能力は違います。このように、ヘルスリテラシーは合理的に得た正確な情報に基づいて決める、健康になるための力と言えるのではないでしょうか。
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患者の自己決定と看護師の役割
「良質の医療を受ける権利」「選択の自由の権利」「自己決定の権利」「患者の意思に反する処置」「情報に対する権利」「守秘義務に対する権利」「健康教育を受ける権利」「尊厳に対する権利」など、患者の権利がクローズアップされていますが、基本的に患者や家族が自らの意思で治療方針を決定することが大切です。看護師は医師と患者をつなぐ架け橋的な存在となり、患者に寄り添うことが重要な役割と言えるでしょう。
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ヨーロッパ、アジア諸国との比較
世界的にヘルスリテラシーを測定する尺度の研究が進められています。ヨーロッパのHLS-EU-Q47という調査方法が有名で10カ国以上に翻訳され各国でヘルスリテラシーの調査が行われています。各国の調査結果をまとめた論文を調査すると日本のヘルスリテラシーの低さが浮き彫りになりました。ヨーロッパだけでなくアジア諸国と比べても日本のヘルスリテラシーは最も低い結果となっています。ただし、この結果は日本だけ調査方法が違う点も注意が必要です。
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ヘルスリテラシーの定義について
リテラシーとは、元々は読み書きの能力のことを言います。ヘルスリテラシーは、健康情報に対して入手、理解、評価、活用をするための知識や能力という意味で使われます。また、健康情報に基づいて意思決定される健康を決める力とも言えるでしょう。ヘルスリテラシーが低いと健康に影響があると言われています。また、ヘルスリテラシーが高い人は、健康的であるだけでなく仕事のパフォーマンスが高い、問題解決力が高いなどの傾向もあるようです。