現状や取り組み
世界的にヘルスリテラシーへの注目が高まっていますが、残念ながら日本人のヘルスリテラシーは低いと言われています。ヨーロッパやアジア諸国と比較した調査結果でも日本のヘルスリテラシーは低いことがわかります。昨今の新型コロナウイルス感染拡大に伴い「漢方薬に予防効果が」「ウイルスは熱に弱いのでお湯を飲むと良い」などほとんどデマとも言えるような健康情報が次々に飛び交っています。そしてこれらのデマ情報に振り回される人が少なからずいるのが現状です。ヘルスリテラシー向上のためにできることを解説します。
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日本人は意識が低い?
私たち日本人は、充実した医療のもと、平均寿命を延ばしている長寿国に暮らしています。その日本人のヘルスリテラシーは世界最悪だという調査結果が出ています。その要因として、一つはかかりつけ医がいないということが挙げられます。また、よく言えば鷹揚、悪く言えば危機感が薄い日本人の国民性もこの結果に至る一つの要因かもしれません。ヘルスリテラシーは、いわば自身の身を守るための知識です。まずは一人ひとりが、ヘルスリテラシーを高めるという意識を持つことが重要です。
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ヨーロッパ、アジア諸国との比較
残念ながら日本人のヘルスリテラシーは低いと言われています。では、他国はどうでしょうか。ヨーロッパやアジア諸国と日本のヘルスリテラシーを比較した調査データがありますので紹介します。他の国と比べてもやはり日本のヘルスリテラシーは低いということがわかります。かかりつけ医を持たないなど医療との関わり方の違いもヘルスリテラシーに差が出る原因です。これからの日本には子どもの頃からの健康教育に力を入れる仕組みづくりが求められています。
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「い・な・か・も・ち」を覚えよう
ヘルスリテラシーを高めるには、健康情報を見極める力を養う必要があります。「〇〇が身体にいい」などの健康情報を目にした時にどうしてもその効果(身体にいい)にばかり気を取られがちですが、リスク(副作用や注意点)にも目を向けることが大切です。そのために役立つキーワード「い・な・か・も・ち」を覚えてください。「い・な・か・も・ち」は、その健康情報が本当に自身にとって適切な情報かを判断するために確認するべきステップです。
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個人のために企業ができること
ヘルスリテラシーの向上は、企業経営の視点でも重要な課題です。従業員の健康維持は業績につながるとして健康経営に取り組む企業が増えています。従業員のヘルスリテラシー向上は健康経営の成果向上につながります。では、従業員個人のヘルスリテラシー向上のために企業は何ができるのでしょうか。ヘルスリテラシーを向上するためには、まず現状を把握することが必要です。従業員が健康と向き合う機会をつくり、健康に関する適切な情報提供を実施するなどの活動によって企業全体の健康維持につなげてはいかがでしょうか。
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患者の自己決定と看護師の役割
「良質の医療を受ける権利」「選択の自由の権利」「自己決定の権利」「患者の意思に反する処置」「情報に対する権利」「守秘義務に対する権利」「健康教育を受ける権利」「尊厳に対する権利」など、患者の権利がクローズアップされていますが、基本的に患者や家族が自らの意思で治療方針を決定することが大切です。看護師は医師と患者をつなぐ架け橋的な存在となり、患者に寄り添うことが重要な役割と言えるでしょう。
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ヨーロッパ、アジア諸国との比較
世界的にヘルスリテラシーを測定する尺度の研究が進められています。ヨーロッパのHLS-EU-Q47という調査方法が有名で10カ国以上に翻訳され各国でヘルスリテラシーの調査が行われています。各国の調査結果をまとめた論文を調査すると日本のヘルスリテラシーの低さが浮き彫りになりました。ヨーロッパだけでなくアジア諸国と比べても日本のヘルスリテラシーは最も低い結果となっています。ただし、この結果は日本だけ調査方法が違う点も注意が必要です。
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ヘルスリテラシーの定義について
リテラシーとは、元々は読み書きの能力のことを言います。ヘルスリテラシーは、健康情報に対して入手、理解、評価、活用をするための知識や能力という意味で使われます。また、健康情報に基づいて意思決定される健康を決める力とも言えるでしょう。ヘルスリテラシーが低いと健康に影響があると言われています。また、ヘルスリテラシーが高い人は、健康的であるだけでなく仕事のパフォーマンスが高い、問題解決力が高いなどの傾向もあるようです。