「い・な・か・も・ち」を覚えよう
健康情報を読み解く能力であるヘルスリテラシー。この能力が世界的に見ても低いとされる我々日本人ですが、どのような点に注意すればヘルスリテラシーを高めることができるのでしょうか。最近では食品安全委員会などでも、専用のウェブページを作り「「食品」であっても安全とは限りません。」「多量に摂ると健康を害するリスクが高まります。」「「健康食品」は医薬品ではありません。品質の管理は製造者任せです。」などと注意喚起をしています。ヘルスリテラシーを高め、健康情報を正確に入手しましょう。
健康情報を見極めるキーワード
聖路加国際大学が、ヘルスリテラシーを高めるために必要な健康情報を見極める方法として、「い・な・か・も・ち」というキーワードを提唱しています。「い・な・か・も・ち」とは、いつ書かれたか、なんのために書かれたか、かいた人はだれか、もとネタはなにか、ちがう情報と比べたか、といった判断基準の頭文字をとったものです。健康情報を調べる際は、この「い・な・か・も・ち」に注意しながら読み解いていきましょう。
「い・な・か・も・ち」とは
「い・な・か・も・ち」をもっと詳しく見ていきましょう。日々様々な研究が進んでいるので情報はどんどん進化していきます。書かれた情報が古い可能性もありますので、「いつ書かれたのか」しっかりチェックしましょう。ネット上などでは科学的根拠がなくただの宣伝目的の情報も少なくありません。その中には間違った情報も多いので、「なんのために書かれたか」をチェックしましょう。さらに、「かいた人はだれか」というのも重要なチェック項目です。出版社やサイトの運営会社を調べたり、執筆者がわかればその人の経歴や所属団体などもチェックしましょう。「もとネタはなにか」も確認が必要です。使用者の感想やアンケート結果などを示している場合も多いですが、それはあくまで個人の感想であり、科学的根拠とは言えません。また、都合の良い結果を選んで開示している可能性もあります。最後に「ちがう情報と比べたか」です。1つのサイトや本からの情報に頼らず複数のサイトや本から情報を得るようにしましょう。
医療機関も活用しましょう
「い・な・か・も・ち」を使って健康情報を確認して自分で判断できるようになるのは重要なことですが、一人では難しいことも多いでしょう。不安なときはぜひ医療機関を上手に活用してみましょう。最近では「健康相談外来」や「健康相談室」がある病院も増えてきており気軽に相談することができます。また、自治体などでも相談窓口を設置しているところが増えています。信頼できる専門機関を探しておくこともヘルスリテラシー向上に役立つでしょう。
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患者の自己決定と看護師の役割
「良質の医療を受ける権利」「選択の自由の権利」「自己決定の権利」「患者の意思に反する処置」「情報に対する権利」「守秘義務に対する権利」「健康教育を受ける権利」「尊厳に対する権利」など、患者の権利がクローズアップされていますが、基本的に患者や家族が自らの意思で治療方針を決定することが大切です。看護師は医師と患者をつなぐ架け橋的な存在となり、患者に寄り添うことが重要な役割と言えるでしょう。
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ヨーロッパ、アジア諸国との比較
世界的にヘルスリテラシーを測定する尺度の研究が進められています。ヨーロッパのHLS-EU-Q47という調査方法が有名で10カ国以上に翻訳され各国でヘルスリテラシーの調査が行われています。各国の調査結果をまとめた論文を調査すると日本のヘルスリテラシーの低さが浮き彫りになりました。ヨーロッパだけでなくアジア諸国と比べても日本のヘルスリテラシーは最も低い結果となっています。ただし、この結果は日本だけ調査方法が違う点も注意が必要です。
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ヘルスリテラシーの定義について
リテラシーとは、元々は読み書きの能力のことを言います。ヘルスリテラシーは、健康情報に対して入手、理解、評価、活用をするための知識や能力という意味で使われます。また、健康情報に基づいて意思決定される健康を決める力とも言えるでしょう。ヘルスリテラシーが低いと健康に影響があると言われています。また、ヘルスリテラシーが高い人は、健康的であるだけでなく仕事のパフォーマンスが高い、問題解決力が高いなどの傾向もあるようです。